2001年
3月1日発行
No.85
保険診療について

 医療費が年々上昇し、その財源がなくなる恐れが出て来ました。これを抑制しようとして昨年は特に増加しつつある高齢者を対象として老人医療が導入されました。しかしこれが果たして医療費削減となるのか疑問です。
 本年1月より、老人の方々には受診のたびごとに800円の窓口支払の負担が増えました。政府の方針では老人の方々に、毎回診療のたびに、診療費の一割を負担していただく方針でした。新聞論調も政府の方針に賛成の傾向が強いようでした。近い将来、何らかの形で値上げがあると予想されます。
 保険診療は患者さんが考えているほど、自由に権利を施行できないものです。先ず、予防的治療は受けられないことです。従ってインフルエンザワクチン注射は保険診療となりません。また原則として、診察しないで投薬治療は出来ません。
 薬の投与方法も細かな指導が医療側にあります。例えば、病気の種類によって2週間以上処方できる薬は予め限定されています。高血圧症の方が数種類の薬を服用していても、高血圧に関係する薬以外は2週間以上は処方出来ないことになっています。また、例え高血圧症に関連する薬であっても、発売後1年を経たなければ2週間以上は処方出来ないのです。
 例外としてアスピリンの場合があります。これは今まで解熱鎮痛剤以外の処方が認められない薬でした。心筋梗塞や脳梗塞の治療に血栓予防薬として実際に用いられていました。十年以上を費やして、ようやく正式に効能効果が認められ、投与方法に文句をつけられることがなくなりました。
 保険診療には医療側と国との協議の結果、取り決められた規則が厚い一冊の本となっています。私たちはこの規則に従って、患者さんにとって最も有効で、余分な費用のかからない治療法を追求しなければなりません。患者さんの方々もよろしくご協力をお願い申し上げます。
(院長)