2001年
7月1日発行
No.87
エスペラント語(世界共通語)について

  院内だよりの健康講話に関係のなさそうな話題ですが、世界平和を願って活動されているエスペランチストが多数前橋市におられる事をお知らせしたいと思います。
 五月下旬、私が群馬大学生化学教室でお世話になった当時の主任教授・山添先生から一冊の辞書を戴きました。先生は本年92歳で、頭脳身体共に停年退官時と変わらない健康状態であります。何年も費やして、医学方面に関しての専門用語を英語からエスペラント語に変換する辞書の編纂にあたられました。私には猫に小判のようなものですが、エスペラントをもう一度勉強せよとのお考えでしょうか。
 集中して、生きがいのある目的を持って生活すると若い時とほとんど変わらない状態を維持できます。介護保険で一部の老人を保護しすぎるよりは活用して長生きをして戴く制度も考えてほしいと思います。
 私とエスペラントとの係りは医学部2年生の頃で、先輩である前県立看護大学学長・田所先生を介して、山添先生、当時の群馬大学学長・西先生にエスペラントを指導されましたが、劣等生のまま現在に至り、辞書があれば何とか理解出来ますが、喋ることは出来ません。
 エスペラントは1887年ポーランドの医者であるザメンホフによって発表されました。1906年に日本エスペラント協会が設立され、徐々に日本に普及して100年を経ましたが、東ヨーロッパなどに比して民衆の段階には至りませんでした。世界に流通する言語は現在英語が主流となっているのが現状です。
 「エスペロ」は希望という意味があります。エスペラント語が全世界に今より滲透すれば、人間同士互いに理解しあい、戦争はなくなると考えられます。しかし民族には固有の言語があり、これが頭に滲みこんで他民族を理解しなくなります。このような現状の中で素晴らしい生涯の仕事として、生命を捧げておられる多くの先生方に敬意を表すものであります。また私自身も、高齢に向かいながらの良い目標とさせて戴きます。

(院長)