2001年 9月1日発行 No.88 |
睡眠薬について |
不眠症には、(1)入眠困難、(2)中途覚醒、(3)早朝覚醒、(4)熟眠感の欠如などがあります。
上の1項目以上が週3日以上あり、1箇月以上続いている場合を不眠症とします。不眠症の原因が根本にあり、単に睡眠薬を服用しただけでは済まない場合もあります。一般的にいって高齢者に不眠症が多くなる傾向がみられます。脳は老化すると質、量ともよい眠りを創り出すことが難しくなります。昼間の活動量が減り、居眠りが増えたりするため、結果として不眠で悩む方が多くなります。
日中運動をしたり、真夏はともかくとして、太陽の光を浴び、身心活動を高めると夜間良い睡眠が得られる場合もあります。これでも不眠が続くならば、睡眠薬を服用しても差しつかえないと考えられます。飲み始めると「くせになる」または「ぼける」などと考えなくてもよいと思われます。ただし若い人は生活のリズムや睡眠の根本原因を解決するようにして、服用しないように勧めています。
昔の睡眠薬はバルビツール系であり、習慣性もあり、調節もむずかしかったのです。現在はベンゾジアゼピン系と非ベンゾジアゼピン系の薬が用いられています。これらは大脳の周縁系という脳の深い場所ですが脳幹には作用せず、薬物依存や耐性も少なく、中毒量に至りにくく、比較的安全に使えるようになりました。薬の種類も多く、短時間作用型、長時間作用型などがあります。しかし薬によっては筋弛緩作用や夜間せん妄、健忘などがあります。患者さんの状態により、薬を処方するようにしています。
注意すべき事はアルコールを併用しないこと、自分で勝手に薬を増量させないこと、長期に持続的に服用しないことなどがあります。しかしどうしても眠れない人には作用時間の短いものを最低必要量を決めて、長期服用する場合もあります。加齢により心拍出量及び腎血流量が減少するため、薬物の排泄機能が低下する場合もあります。いろいろな注意をしながら、服用しましょう。
(院長)