2001年
11月1日発行
No.89
突然の投薬変更について

 最近、ある製薬会社で発売していた高コレステロール血症の治療薬が突然発売中止になりました。当院でもこの薬を使用していましたが、直ちに投薬の中止を決定しました。確かに今までコレステロールの値があまり低下しなかった患者さんの値をこの薬はよく低下させ有効であると考えていました。外国でこの薬に中性脂肪を低下させる薬を併用した場合、副作用で死亡者が出現したとの事でした。日本ではこのような例はなかったのですが、素早く反応して中止にふみ切りました。
 このところ、狂牛病問題が世を騒がせていますが、この場合、感染の原因は死んだ牛より作った肉骨粉でしたが、日本では長くこの問題を放置して来ました。日本でも狂牛病が発生、あわてて肉骨粉の使用を中止しました。将来の危険を予測して薬の販売を中止したのは正しいかも知れません。  薬はどんな薬でも何らかの副作用を持っています。現在認可されている高コレステロール血症の薬も当然似たような副作用があります。私たち医師は注意して使用しているつもりです。
 更に当院では比較的多く用いられていた脳循環改善のための薬が販売中止となり、投与出来なくなりました。多数の患者さんには大変ご迷惑をおかけしています。この薬が充分に有効かどうか、確かな証明がなされていない事が発売中止の理由です。未だ脳循環改善を目的として数種の薬が認可されていますので、薬を変更する事で対応しています。
 この種の薬は血圧降下剤のような万人に適応するはっきりした指標が得られません。有効がはっきりしませんが、長期投与により、脳血栓の予防、再発などに役立っていたのではないかという印象はあります。今後数年で新たな薬が出現する見通しはなく、今まで使用されていた薬が更に発売中止になる可能性も残っています。その時は改めて事態に対応していきたいと考えています。
(院長)