2002年
1月1日発行
No.90
睡眠薬について 続報

 私が医学生時代には未だ、バルビタール酸系の薬剤が用いられていました。これらは長く服用すると次第に効かなくなり、また依存性と言って、服用しないと我慢が出来なくなったり、逆に興奮したり、肝障害を招いたりしました。
 1967年にニトラゼパム(ベンゾジアゼピン系)が発売され、強い睡眠作用をもちよく用いられました。現在でも相変わらず人によっては良い効果を示しています。
 その後より睡眠内容に悪影響を及ぼさない薬が探され、1988年にトリアゾラム(ハルシオン)が発売されました。短時間で最高血中濃度に至り、睡眠導入作用がより速やかで、蓄積効果も少ないことなどから、よく使用されるようになりました。この薬は現在でも人気があり、広く用いられています。しかし高齢の方に、服用後に記憶消失や依存性のような作用がみられます。またアルコールなどと同時に服用すると幻覚を伴った快感が得られるようです。
 外来に怪しい態度でハルシオンはあるかと問い合わせる患者さんも出現した事もあります。現在、当院では処方しない方針と致しました。
現在は比較的よく用いられる薬ではゾピクロンが割合に広範囲の人に有効なようです。しかし著しい苦味が翌日長時間残る方が居ます。すぐに拒否されるので、他の薬に変えることになります。
 最近発売されたゾルピデムという薬は半減期も短く、睡眠導入作用も良いようです。また、クアゼパムもやや長時間持続型ですが、深い睡眠作用があり覚醒後の状態が良いようです。
 最近の薬は連用してもアルコールのような依存性は少なく、肝障害の生じる恐れもないようです。不眠に悩んで翌日不快で活動できない状態より、気楽に服用して、その後は薬に頼らないで、日中よく運動して正常の睡眠が得られるよう心がける事が重要なようです。
(院長)