2002年
3月1日発行
No.91
骨粗鬆症について

 開業依頼30年近くになり、患者さんの層もかなり高齢化して参りました。高血圧、脳梗塞、脳出血など、主に血管性疾患に取り組んで参りましたが、老化に伴う骨の疾患に対応しなければならない事も多くなりました。
 多数の方が年齢を経るにつれて、多かれ少なかれ、腰の下肢の傷みを訴えることが多くなりました。また、少しの外傷などで骨折などをします。原因は老化と共に骨密度が若い時より減少し、骨自体が軽くなり、弱ってしまうのです。
 まず第一には予防として、日々しっかり体を動かし、カルシュームの多い食事や牛乳などを摂ることです。
 また50歳を過ぎた場合、特に農家の方は前かがみの姿勢を長期に続けないようにすることが必要です。腰が曲がってしまうと、コルセットで直そうと思っても、無理です。これ以上悪くさせない効果しか認められません。
 さて治療となりますが、現在までたくさんの薬が発売されています。カルシューム製剤、女性ホルモン製剤、蛋白同化ホルモン製剤、カルシトニン製剤、活性型ビタミンD3製剤、イブリフラボン製剤、ビタミンK2製剤、ビスフォネート製剤等があります。
 男性より女性に目立つ事が多く、閉経後骨粗鬆症ではエストロゲン分泌低下により、骨の中で骨形成と骨呼吸がいずれも亢進(高代謝回転)している状態です。エストロゲンやビスフォネート製剤が有効とされています。
 老人性骨粗鬆症ではカルシトニン、活性型ビタミンD3、ビタミンK2製剤が用いられています。老人の一部の人では高代謝回転となる場合があり、ビスフォネートが投与されることもあります。
 新しい薬が発売されるたびに、老化予防が完全に出来そうな薬の説明書きに期待を持ちますが、なかなか現実は厳しいものがあります。カルシュームの他に大豆などの女性ホルモン類似の物質を含むものを摂り、適切な運動療法が行われないと、その効果は発揮されない事が多いのです。
(院長)