2002年
5月1日発行
No.92
医療費改定について

  小泉内閣の構造改革の一環として、増大する医療費抑制のために4月より先ず診療側の改定が行われました。私が開業して以来、経験のない医療費の低下が明らかとなって参りました。政府は診療側の減収は3%位と述べていましたが、多い所で20%の減少、当院ではおよそ10%の低下が推定されました。多数の病院や診療所で今後の対策が考えられていますが、普通の経済活動と異なり、医療の問題は患者さんの命に関係がありますから、事は深刻です。
 病院の経営母体が市町村、県または財団法人、福祉団体ならば何とかしのげますが、今後各施設が生き残りをかけて競争原理が導入されるかもしれません。当院では院長は70歳までにあと2年とせまりましたので、積極的な診療は避け、今までの経験を生かし、患者さんに対する基本的なサービスの低下を出現させないようにしていきたいと思います。
 その他に大きく今までと変わった事は、処方した薬の内容が病名と一致しているか、細かくチェックを受けることになりました。多くの病院や診療所で不必要な、または過剰であると判定された薬の請求が減額される可能性があります。医療側もこれに対応していくより仕方ありません。効果判定の明確でないビタミン剤、同じような効果のある薬剤等は処方困難となります。また一度に7種類以上を投与することも制限されています。患者さんの希望に沿った治療がなかなか困難になりつつあります。
 患者さんの直接負担増は老人医療の定額負担800円が850円となりましたが、今年の秋からは一割負担となります。場合により、かなりの負担増となり、診療を控えることが起きそうです。さらに来年4月には、現在の二割負担の健康保険本人の場合、三割負担となります。私たちが心配しているのは、高血圧や糖尿病などありふれた疾患の方々の診療抑制や、癌その他致命的疾患の早期発見が遅れることです。今後は患者さん自らが健康管理をせざるをえない時代になるかもしれません。
(院長)