2003年
3月1日発行
No.97
片頭痛の有病率と治療

最近の話題から

 私の医院では頭痛を訴えて来院する方が多く居られます。患者さんに問診票をお渡しし、その症状を書いて戴くことも多いのですが、短時間で的確に記載して下さる方はあまり居られません。頭痛がある時は話をするのも面倒ですから、字を書くことなどなおさら億劫でしょう。
 頭痛の性質をこと細かに聞いて分析し、分類しても治療の方法がそう変わるわけではありません。国際頭痛学会もすでに第14回となりましたが、一般医、日本で言えば開業医を受診して、医師自身の経験から片頭痛と診断された患者さんに、頭痛学会が作成した診断基準に基づいて、改めて調査してみたところ、87%の確立で一般医の診断が正しかったと証明されました。
 片頭痛を正しく診断するためには、患者さんに片頭痛日記を書いて戴くことが大切です。片頭痛でないと診断された方でも、詳しい日記をつけて戴くと、82%の確立で片頭痛だったことがわかりました。従って、二次性頭痛といって、脳腫瘍、血管障害、副鼻腔炎以外の頭痛の大部分が片頭痛となるようです。
 治療としてはスマトリプタン製剤が有効であると証明されています。しかし、この薬の最大の欠点は非常に高価なこと。1錠で約1000円もするため、1回に5〜10錠は処方したいのですが、患者さんに出費を了承して戴くことがなかなか困難となっています。
 以前はよく用いられたいた安価な薬でも有効な場合があります。在庫があるうちは、まず今まで用いた経験のある薬を処方し、どうしてもこれでは日常生活に耐えられないという患者さんに初めてスマトリプタン製剤を用いるようにいていますが、1回に2〜3錠では効いたという印象を患者さんにもって戴くのは難しいようです。この事実を国際頭痛学会もよく認識し、対処してほしいものです。
 最近、片頭痛の患者さんの遺伝子に異常のある家系が発見されました。さらに良い治療法や薬剤の開発につながるかもしれません。
(院長)