2003年
5月1日発行
No.98
アメリカのイラク攻撃

 わずか一か月もしない間に世界情勢は一変します。イラク戦争はフセインの抵抗もむなしく、アメリカの一方的な攻撃によるイラク国土の破壊と多数のイラク人民の死を伴って終了しました。アメリカの主張する民主主義はこんなものであったのか、リンカーンの理想とした民主主義とは大分異質のもののような気がします。アメリカが受けたテロ攻撃は確かに彼等にとって相当な屈辱であったでしょう。
 我々日本人、とりわけ太平洋戦争でアメリカの空襲を受けた人は、アメリカも反省すべき点もあるのではないかと考えていました。真珠湾攻撃を広島と長崎の原爆投下でお返しをしたような反応がイラク攻撃です。民間人に被害は及ぼさないようにすると言っても、あらゆる手段をもって攻撃しようとする強い意志を持ったブッシュの演説の姿はヒットラーと変わりないような気がします。
 フセインも悪かったであろうが、中東全体が一世代遅れた状態であり、フランスやロシアが陰で怪しいことをせず、国連という組織を有効に機能させれば5年位でフセインの権威もなくなって来たであろうと考えます。
 医師集団が出している新聞でも「いま私たちに出来ること」と題し、戦争反対の意思を示すように求めていました。この「かのう医院院内だより」はたった200部ですが、私の気持ちを表しました。
 日本は現在不況ということで、財政的に大問題を生じています。しかし私が昭和50年に開業した頃に比べれば、物質的にははるかに恵まれ、医療体制もよくなり、薬品も豊富で質も向上しています。アジアや中東諸国に比すれば恵まれていると考えられます。アメリカの起したイラク戦争の後始末ですが、戦後処理である程度の負担は止むを得ないでしょう。またアメリカに追随しているばかりでは、日本の将来も危ないと考えます。必要な軍事的防御はしっかり行なわなければならない時代に来ているようです。
(院長)