生き物情報へ      

観音山丘陵の自然データ

トンボ・・・・会員および城山エコクラブからの情報 は こちら    


(故)岡崎 一鳴さんが教えてくれたこと

「 岡崎さんは、定年退職した60歳の頃から、子供の頃のトンボとの楽しかった想い出も手伝い、再びトンボに関心をもち、以来約14年トンボの研究や観察、撮影、調査をつづけている。」 
「トンボの舞い飛ぶ風景は、昔からあった人と自然の共生の姿だと思うんです。休耕田の増加や水質、環境の悪化はなんとかしなければならないですね。」と語っておられた。
         ぐんま情報誌「からっ風」第66号平成11年1月・2月号に紹介された岡崎さんの記事より
         <特集:夢追い人 ファインダーで捕らえた「トンボの国」>

 岡崎さんは、城山小のトンボ観察会のご指導をしてくださり、プールのヤゴ救出やヤゴの育て方、ビオトープの池の作り方などについてもアドバイスしてくださいました。そのご指導により、城山小のエコクラブの活動が続いています。


城山小のトンボ観察会のために岡崎さんが作ってくださった資料

   ト ン ボ の 話     2000.10.14   岡崎一鳴

1はじめに
   むかし、日本は「秋津島(あきつしま)」とよばれていました。アキツとはトンボのことで 『トンボの国』という意味です。
   日本では昔から水田で稲を作って、お米を食べていました。むかしは稲の害虫を殺すクスリ  がなかったので、害虫のウンカやずい虫の成虫を捕って食べる益虫として感謝されて、大事にされたのです。大昔の銅鐸(どうたく)にトンボが描かれていました。
   また、「勝ち虫」として、武士の兜(かぶと)などにトンボの図柄が使われていました。
   童謡の「赤とんぼ」は90年近くも前に小学唱歌として歌われてから、今も愛唱歌として歌いつがれています。このように、日本人にとトンボは切っても切れない間柄でした。 
   私にとってのトンボとの初めての出会いは、小学校に入っていた頃、道ばたの麦わらの束に止まっていたムギワラトンボ(シオカラトンボのめす)でした。目をつむると、はっきりと浮き出してきます。


2トンボの動物としての位置づけ
   トンボは動物界、節足動物門、昆虫類網、トンボ目に属します。

3トンボの種類
    世界のトンボ5000種、日本のトンボ200種、群馬のトンボ94種
                   |3亜目14科84属184種16亜種
          |        |            |
      均翅亜目(7科)  ムカシトンボ亜目(1科) 不均翅亜目(6科)
       1イトトンボ科     1ムカシトンボ科     1オニヤンマ科
       2カワトンボ科                     2ヤンマ科
       3アオイトトンボ科                  3トンボ科
        その他 (4科)                   その他(3科)


4今日見つけることができるかもしれないトンボ(10月3日に城山で見つけた6種)
   トンボ科 ・アキアカネ・・・高い木の上の枝先、棹の先にとまっていた。
          ・マユタテアカネ・・・草の上、低い木の先に
          ・ノシメトンボ・・・マユタテと同じところ(数少ない)
          ・ウスバキトンボ・・・中央公園の広場の上を舞っていた。高い木の中段に。
    アオイトトンボ科 ・オオアオイトトンボ・・・草むらのうすぐらいところ
    ヤンマ科  ・カトリヤンマ・・・みつばちの箱のわきの小道と竹やぶの枝に

 もしかしたら見つかるかもしれない・・・ホソミオツネントンボ、ミヤマアカネ、ミルンヤンマ

平成12年10月14日実施のトンボ観察会報告

5からだのつくり
   成虫 1頭・・・大部分は目。口には鋭い歯がある。触角がある。
      2胸・・・上に4枚の羽、下側には6本の足がある。
      3腹(しっぽ)・・・10の節(ふし)でできている。下側に呼吸する気門がある。
   幼虫 1頭・・・目は親のトンボより小さい。たたまれたあごをのばして餌をつかまえる。
      2胸・・・し芽という羽のもとがある。6本の足はうまく水底をはうことができる。
      3腹・・・腸がえらになっている。均翅類は3枚のえらがついている。

6トンボの一生
   卵    (前幼虫)幼虫(ヤゴ)   成虫  ・・・・・・不完全変体
       ふ化            羽化
   注:卵ー幼虫ー蛹(さなぎ)ー成虫  ・・・・完全変体(チョウ、カブトムシなど)

    羽化したばかりの未熟なトンボは、お腹一杯餌を食べて、成熟して、交尾して、メスは産卵して、やがて一生をおわります。

7トンボの敵(てき)
    卵から成虫になり寿命をおえるまでに、命をおとすことは自然界の宿命(きまり)なのです。トンボの場合、クモのあみにかかったり、カエルや鳥にたべられたり、モウセンゴケなどの食虫植物のえじきになったりします。
    そのためにトンボは1000個程の(オオトラフトンボ)の卵を産みます。次の子孫を残す産卵時に少なくとも2匹のおすとめすが残ることが前提となっています。厳しいものです。


8トンボのとり方、ヤゴのとり方
   1捕虫網(あみ)でとる
     上からかぶせたり、横にすばやくはらったり、飛んでいるトンボの場合、後ろからすばやくすくいとります。
      ギンヤンマのメスを糸でしばって、飛ばして、オスが交尾をしかけるところをつかまえることができます。

   2ヤゴをザルでとる
      ヤゴをとる場合は、ザルやふるいを使い、泥と一緒にすくいとります。また、水草にとりついているヤゴをとる場合は、荒めの網でふり落としてとります。ヤゴはかたまって住んでいる場合が多いので、習性を知ってあみをいれることが大事です。

9おしまいに一言
    トンボは池や川など、水の中や(ヤゴ)、水の周辺の草原や林で過ごしています。トンボはほとんどが、里山をすみかとしています。里山の自然をまもって、トンボをみつめてゆきたいとおもっています。
    今日はトンボにさわって、いのちの大切さを感じて下さい。放したトンボの飛び去る姿を目に止めてください。
 
     
                   平成12年10月14日実施のトンボ観察会報告