第5回観音山丘陵ネット会議報告 平成19年7月24日夜7時より高崎市総合福祉センター第4会議室にて
<外来生物法について>(西野)
1)この法律によって特定外来生物についての扱いが定められました。
2)特定外来生物に指定された生物は、3つの悪影響を考えて指定されています。
日本固有の生態系への影響
在来生物を食べる
在来生物の生育環境を奪ってしまったり、餌の奪い合いをする
近縁の在来生物と交雑して雑種をつくる
人への生命・身体への影響
毒を持っている
人をかんだり刺したりする
農林水産業への影響
農林水産業物を食べる
畑を踏み荒らす
3)特定外来生物に指定されている生物は
飼育・栽培・保管・運搬・販売・譲渡・輸入・野外に放つことなどが原則禁止されます
4)外来生物被害予防の3原則
1.入れない・・・悪影響を及ばすかもしれない外来生物をむやみに日本に入れない
2.捨てない・・・飼っている外来生物を野外に捨てない
3.拡げない・・・野外にすでにいる外来生物は他地域に拡げない
5)要注意外来生物リストとして
被害に関る知見が不足しており、引き続き情報の集積に努める外来生物
選定の対象とならないが注意喚起が必要な外来生物
被害に関る一定の知見はあり、引き続き特定外来生物などへの指定の適否について検討する外来生物
別途総合的な検討を進める緑化植物
などが指定されている
詳しいことは「環境省自然環境局野生生物課」外来生物法ホームページを見てください。
<群馬県の鳥類について>吉田さん 要旨・・・西野記載
県の委託で鳥獣保護員をしている。
鳥は、獣(サル、イノシシ、クマなど)と違って、嫌われている鳥はいるがそれほど悪さをしない。
昔、「ツバメは虫を食べるので益鳥である」と教えられたが、ツバメに限らずほとんどの鳥は虫を食べるので益鳥と言ってよい。
外国からやって来る鳥といっても、渡り鳥は自分から来ている。日本では渡り鳥が多い。
外来種というのは、無理やり連れてこられたか、材木などにくっ付いて来てしまったもの。
鳥の場合、ペット屋さんから逃げたもの、飼い主が逃がしたもので、「カゴ抜け鳥」と呼ぶ。
公園にいる鳩も元は伝書鳩として飼われていたものが繁殖したもの。
キジバトは自然の鳥なので、自然の材料を使って巣をつくる。
鳥類で特定外来生物に指定されているガビチョウ3種とソウシチョウはいずれも群馬県にいる。
ガビチョウについて(特定外来生物に指定:ガビチョウ、カオジロガビチョウ、カオグロガビチョウ)
1995〜6年に藤岡の庚申山で発見され、きれいな鳴き声だと、わざわざ聞きに行った。
渡り鳥ではなく、カゴ抜け鳥。中国では鳴き声がきれいなので「鳴きあわせ」をする。物まねでさえずる。姿はきれいでない。
繁殖力が強く、群馬県内では3種類とも確認されている。観音山丘陵にもいる。
ソウシチョウについて
インドから来ている。姿も鳴き声もきれいで、ペットが逃げた「カゴ抜け鳥」
1999年から観音山でも見られるようになった。冬になるといる。
箕郷や倉渕で繁殖が確認されている。
両者とも、野鳥の生態系を変えるほどではない。まだ、数は少ない。マスコミでもあまり取り上げられない。むしろ、カラスやウのほうがマスコミで取り上げられている。
他に、インコなどの種類も繁殖している。
コジュケイも狩猟用に繁殖させたもの。野鳥といわない。
コウライキジは群馬県内で食用として許可の下に飼育されている。野生化すると問題なので管理は厳重。カゴは二重になっている。
野鳥の問題は、日本の在来種の保護の問題の方がむしろ大きい。
野鳥は法律で飼育してはいけないことになっているので、飼育しているのが見つかれば現行犯で逮捕される。
また、野鳥は輸入も輸出も禁止されているので、業者が闇で作って発行している「輸入証明書」は無効。これは、日本の野鳥を輸入したものと見せかけるためのものがある。
特に、鳴き声も姿もきれいな「メジロ」「ウグイス」「オオルリ」が飼われること多い。韓国のメジロと違って日本のメジロ(和鳥)は鳴き声がいいので、輸出されると韓国の生態系に影響する心配がある。
昔は、メジロも飼ってよかった。留鳥で一年中いる。「鳴きあわせ会」が開催されていたが、今は禁止されている。
野鳥は捕まえても、飼育しても違法。飼っている人を知っていたら知らせて欲しい。
是非、もっと、野鳥や環境のことに興味をもって危機感を持ってもらいたい。
<蝶について>布施さんと小出さんの群蝶会例会でのお話の要旨(西野記載)
ホソオチョウとアカボシゴマダラが要注意外来生物の注意喚起が必要な外来生物になっている。
ホソオチョウは、1996年に足利で見つかった。一年後に板倉町で見つかり、その後渡良瀬川流域に範囲を拡大して、桐生でも見られる。ジャコウアゲハと食草であるウマノスズクサが共通で、その影響が心配されているが、ホソオチョウのせいでジャコウアゲハがへったというきちんとした研究はない。
日本には昭和39年に埼玉で確認され、2年後に東大構内、中央線沿線に沿って大槻、長坂へと拡大し、現在は甲府、京都など関西にも拡大している。
日本では、3月から10月まで見られ、全ステージのものがいつもいる。28日で卵から親になる。他の種との交雑はない。害になる蝶ではない。
ウマノスズクサは昔はそこいらじゅうに生えていたが、いわゆる雑草として刈られるので、今では河川敷などの限られたところにしか生えていない。
アカボシゴマダラはエノキを食草としている。同じようにエノキを食草とするオオムラサキやゴマダラには天敵の寄生バエがいるが、アカボシには天敵がいないので増えやすいということはある。初め、神奈川に現れどんどん範囲が拡大している。東京にもいる。
いずれにしても、不用意に生息範囲を拡大させるような移動はよくないので注意が必要だろう。
<特定外来生物の駆除に関する問題>布施さんらのお話
群馬県は、2005年度から特定外来生物の調査を開始して、データーを整理中。
特定外来種だからといって、勝手に捕まえたり植物を抜いたりして良い訳ではない。
誰の土地か、だれが管理しているかは大切。
特定外来生物の駆除には、人的にも経済的にも大きなコストが必要で、理解が必要。
一般に、駆除作業の予算は年度単位で出るので、次の年度に続いてやれるとは限らない。
例として、大塩湖のカワヒバリ貝、大田のボタンウキクサ
<魚類のこと>杵渕さん
魚類の特定外来生物であるブラックバスやブルーギルは悪者のイメージがあるが、食料難の頃食料として芦ノ湖に放流されたのが始まりで、オオクチバスなどはスズキの仲間で食べればおいしい。食料としての需要より釣りのスポーツとして、釣りの関係者があちこちの湖に放したので広がった。
群馬でも、どこの池にでもいる。小さいため池ならば、水を干して退治することも可能だが、山名貯水池くらいになるとそれもできないので、駆除はほとんど不可能。
外来種の扱いについては、漁業との関係で、あるものは漁業資源、あるものは悪魚扱いになる。
外来種が池に入ると在来種も一時減るが餌を食べつくすとそれ以上増えなくなるので、ある時期から均衡状態になると言われている。
これらの魚を完全に駆除することは実際的には不可能と思う。
<ウシガエルとアメリカザリガニについて>西野
ウシガエルは特定外来生物に指定されている。駆除の対象にもなる。
ウシガエルが金井沢にいる。アメリカザリガニもいる。子供たちに捕まえたらどうするか指導するのは難しい。少なくても移動させないことを教えるくらいしかできない。
ウシガエルは夜行性なのでとても捕まえられない。オタマジャクシなら獲れるが、ウシガエルが減ると餌のザリガニが増えるかもしれない。逆にザリガニを減らすと他の生物をウシガエルが食べてしまうかもしれない。手の出しようがない。
知り合いの家の庭に勝手にウシガエルが来て住んでいるというが、これは、飼育していることになるのか?
様々わからないことがあるが、高崎市の環境課に問い合わせたところ「検討中」ということだった。
新たな生息地を広げないことができるかどうか。難問と思う。
<会議のまとめ>
普段から身近な生き物に関心を持って、観ていく事でその変化に気付くことが大切と思う。
子供たちにも、外来生物の問題をきちんと教えることが必要だ。