観音山丘陵ネット会議 平成21年度第一回会議 ネット会議
5月26日(火曜日) 午後6時より
高崎経済大学図書館ホールにて
「オオタカモデル森林について」 松井田の国有林のモデル施行・・掲載新聞記事
講師 群馬森林管理署長 中岡茂
《モデル森林としてのポイント》・・・ご講演の後、熱心な質疑応答がありました。
スギ、ヒノキを皆伐するのではなく80年以上伐らずに残す木を選んで価値を高める。
多品種の樹種(広葉樹)が天然更新する森は生物多様性(オオタカの生態に合う)のある森となる。
多品種の樹が将来にどんな利用価値が見出されるかもしれない。夢がある。森としての価値。低コストの管理。
国有林として初めての試みとなるモデル森林。
技術としては、列状伐採、低コストの林道作りなどが今後の森つくりに必要なのではないか。
林業を担う人材がいないことが問題。
オオタカよりこちらの方が絶滅危惧種。
「オオタカの生態について」
日本野鳥の会群馬県支部高崎分会長 葛生淳一
オオタカについて基礎知識 葛生淳一
*大きさ メスの方が大きい カラスくらい
体長 47〜59cm 翼長 106〜131cm
*分布
沖縄を除く日本全国(繁殖は主に西日本以北)、県内では結構どこでもいる
森林の鳥ではない、むしろ平野の森林、環境が整わず丘陵や中間山地に
*食性 肉食、主として鳥類(ハト、カモ、カラス、ツグミなど中〜大型)
*繁殖
1〜2月 求愛行動 キーキー鳴きながら絡み合って飛ぶ(デイスプレイ飛行)
つがいが決まる
3月 巣作り 主にオスが太い枝の又に枝を積み上げて作る
巨木、特に赤松、枝が横に張っているものなら広葉樹でも
高さ50センチ幅1メートルほどの大きさ
メスが青い葉の杉の枝を敷く(殺菌、ダニよけかと言われる)
交尾、産卵
4月 抱卵 主に♀が抱卵 35〜38日
5月 育雛 2〜3羽生まれれるが育つのは1〜2羽
6月 巣立ち 巣立ち後も親から餌をもらう。狩りはできない。
7〜8月 親から離れる
冬の間 自分で餌を取るが親の縄張りに連接した地域
1年後には、親の縄張りを離れる
*近年の傾向
環境省RDB 準絶滅危惧種(NT)に
2006年に見直し。絶滅危惧種U類から変更。
もともと、結構いたのではないか。
人的食物連鎖が起きている可能性。
群馬県RDB 準絶滅危惧種
オオタカは食物連鎖の生態系ピラミッドの頂点にいる。
近年人的食物連鎖のピラミッドに乗ったオオタカが増えている。
例:東京のゴミを底辺に、日比谷公園のドバトやカラスを餌に
皇居の森にオオタカが繁殖している。
*保護のために重要なこと
環境全体を保全していくこと
不自然な形で(ゴミによる生態系)個体数を増加させるのではなく、
営巣木の確保
木の又に巣。赤松が主。広葉樹でも大きいもので枝が張っていれば利用。
密猟対策
剥製作り、趣味の鷹狩などで密猟。
営巣木から雛を生け捕りにするので営巣木の盗人返しの有刺鉄線が
効果を上げた例もある。(那須の御陵牧場の例「オオタカネット」)
質問 :オオタカの天敵はいないのか?
天敵はいない。
カラスは1対1ではオオタカに負けるが育雛中に集団で頭脳戦をやられると
雛がやられる。1匹が襲って親鳥が巣を離れたところを別なカラスが襲う。