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        観音山丘陵ネット会議報告 平成20年3月23日 「プールのヤゴ救出大作戦」

      

  講演:だれでもできるプールのヤゴ救出大作戦
        身近なプールは生き物ワンダーランド
     講師:清水研介先生(慶応義塾幼稚舎教諭、ヤゴ救出ネット開設)

                 日時:平成20323日(日曜日) 午後2時〜3
             
 場所:高崎市総合福祉センター第一会議室

      命の学習から本格的な生物調査まで。 プールは生き物のワンダーランド。
      プールのヤゴを救出しよう!
  「ヤゴ救出作戦」で命の尊さを学びます。
      ヤゴの観察・採集・同定・飼育にプールのエコアップ。プールが本格サイエンスの場になります。

 〈先生のお話の要点〉

   1)子どもが身近な自然から遠ざかっている。
     その背景には、大人の自然に対する関わり方の問題もあるのではないか。

   2)プールは、身近な自然に触れる場として優れた面があり、利用しない手はない。

   3)ヤゴのつかみ取りイベントとして終わらせないために、系統的な継続的な学習を試みている。
      @生物の送別調査(事前調査)・・・6年生
         プールの表層・中層・底層ごとに生き物を採取し、同定し、生き物の生態を観察する。
      Aヤゴ救出作戦・・・採取4年生、同定分類6年生
      Bヤゴの飼育・・個人・教室・理科室
      Cプールのエコ・アップ・・・・校庭の雑草をプールに投入、プランクトンの「種水」投入実験
         植物組織内産卵のトンボの産卵を誘引(ヤンマ類、イトトンボ類)
            作業中に交尾、産卵が観察できることも
         生息環境の複雑化
         えさ環境の改善  
      D秋のプールの生物調査・・・ウスバキトンボの一生 

   4)ヤゴ救出ネットと活動から分かってきたこと
      プールは現代の溜め池調査に匹敵
      トンボの分布調査・・・分からないことが多い。調査により分かることが期待される
        子どもたちの活動が科学的に価値のあるものにつながる可能性と魅力
      稀少生物の生息場所になっている場合もある

   5)その他、印象に残ったお話し
      慶応義塾幼稚舎は渋谷の市街地にあり、周りに大きな自然はないが様々な生物が
     プールにやってくる。カルガモも。
      一見きたないプールだが、毎年、入るのを嫌がる子はいない。嬉々としてヤゴ救出をする
     子どもたちを見ると、子どもはこういうことが大好きなんだと良く分かる。
      先生のお気持ちの根底には「子供達に科学的な考え方を身に着けて欲しい」という願い
     と使命感を感じました。





   詳しいこと、プールにいる生き物のことなどは、下の著書を読んでいただけるとよく分かります。

   また、ヤゴ救出ネット http://rika.yochisha.keio.ac.jp/yagokyu-net/ を覗いてみてください。


                

  〈事務局からの報告〉

     今回の講演会に際して、事務局は事前調査として高崎市内の小学校に電話でプールの様子を
    伺いました。(52校のうち、一部、取材し切れなかった学校もあります)

     その結果  プールのヤゴ救出活動をしている学校は4校
      ほとんどは、「ヤゴがいるかどうか分からない。今度、様子を見てみよう。」というものでした。

     また、工事中、塗装工事直後、ステンレス製のため、水漏れのためなどから、
    ヤゴ救出活動が困難と思われる学校もありました。

     カモなどが飛来するのを防ぐために、プールにテープを張り巡らせているという学校もあり、
    ヤゴがいるかどうか、興味のあるところです。
     清水先生のお話のように、プールが生き物にとって貴重な水辺となっている現状で、
    野鳥の飛来を拒む必要があるかどうかも今後検討する必要があると思います。

     また、水質浄化の目的でEM菌を投入する試みに取り組んでいる学校があり、
    ヤゴがいるかどうか今後の調査に興味がもたれます。

  今回の講演会は、群馬県地域環境学習推進事業平成19年度の補助事業として行われました。